2008/5/4

世界VIPのソーシャル・ネットワーク

Forbes.com

実世界では、一般人がレッドソックス−ヤンキーの試合を外野席から観戦する一方、富裕層は企業のボックス席から観戦する。また、多くの人はビーチで、駐車場や公共の休憩所を探さなければいけないが、超金持ちは駐車係にキーを預け、プライベート・クラブの予約済のラウンジを利用する。

オンラインでも、同じ格差が生じている

かつて、Webは社会的地位の関係のない最後の場所であると思われたが、今やエリート達は、同じ考えを持った人々と交流のできる快適な場所を探している。彼らは一般人を残しFacebookやLinkedInから離れてきている。

「富裕層がネットワークサイトを利用し始めるのにはもう少し時間がかかるだろう、主にプライバシーなどの問題で。」ニューヨークを拠点とする個人富裕層の調査会社(research company)であるLuxury InstituteのCEO、Milton Pedraza氏は言う。

「しかし今や彼らは、ソーシャル・ネットワーキングサイトを有効に活用したいと思っている。これまでは、年に一度開催される国際会議などの機会のみであったが、今は一瞬のうちに、ドバイやその他地域に同志たちにつながることができる。」

Luxury Instituteの1月の調査によれば、富裕層のソーシャル・ネットワークへの参加は増加しているとのことだ。2008年の805人(年収15万ドル以上)を対象とした調査では、60%の対象者が、何らかのソーシャル・ネットワークに参加していると回答し、2007年の27%から大きく増加した。

富裕層の参加レベルは、MySpaceでは16%、LinkedInでは13%、Facebookでは11%であった。富裕層ユーザは、平均2.8のソーシャル・ネットワークに参加しており、平均110のコネクションを持っている。Pedraza氏によれば、プライバシー漏洩の心配を引き起こす、多すぎる招待依頼や「干渉」、不要なつながりなどを嫌って、皆、会員の限定されたサイトに魅力を感じているという。

新たなソーシャル・サイトの誕生

富裕層達はむしろ、ここ数年新たに開設されている超限定会員のサイトに向かっている。例えば、2004年にサービスの始まったASmallWorldなど。今年は、Diamond LoungeやSqua.reなども新たにサービスを開始している。

あるサイトは、紹介以外の入会は厳しく認めなかったり、教育・役職・ネットワーク・その他限られた条件による厳しい入会審査を入会条件としている。一方、Squa.reやQuintessentiallyなどはもう少し寛容で、他の会員からの紹介による入会を許可している。

ASmallWorldは、決してデジタルAリスター達の間で有名で利用されているようなサイトではないが、2004年、元リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)の銀行員、Erik Wachtmeister氏によって開設された。Wachtmeister氏は、外交官の家族に生まれ(彼の父親は米国のスウェーデン大使)、若い頃からネットワーキングに積極的だった。

「私は、あるコミュニティーの人々は、お互い3つの点で接点を持っていることに気づきました。即ち、彼らは旅行の際には同じリゾートで過ごし、頻繁に同じレストランに行き、同じような生活を送ります。彼らには、情報を共有し、受け取るためのプラットフォームが必要です。未開発のチャンスがそこにあります。」 Wachtmeister氏は言う。

ASmallWorldは世界で32万人もの会員を持つまでに成長し(一方、Facebookの会員は4千万人)、65%の会員は、イギリス、イタリア、ドイツ、フランスが占め、20%は米国が占めている。残りは、中東やアジアなどに点在している。ASmallWorldは、Wall Street Journalでは「ミリオネア達のMySpace」と紹介されたが、彼はASmallWorldを、セルフ・プロモーションやむやみなネットワーキングを許さないニッチ・コミュニティーにしようと考えている。

一度ネットワークへの招待を受けて(ロレックス[Rolodex]を身につけているような富裕層にしか招待状は来ないが)会員になれば、サイトの最も利用されている機能である、マーケットガイド(ハイエンド版のCraigslistで、現在500名の会員が申し込んでいるクルーザーの販売がある)、高級旅行ガイドやグローバル・イベントガイドを探したり、フォーラム・ディスカッションに参加することができる。

「プーケットに誰か良い弁護士を知りませんか?」と、ある会員が最近、ASmallWorldのフォーラムで質問をした。「今、環境に配慮したマンションを建設していますが、投資家に送るタイ−イギリス間での契約書が必要になりました。」

また、別の会員は、「脂肪吸引か、レーザー脂肪分解施術をしてくれるイギリスかヨーロッパの腕のいいお勧めの美容外科の先生を探しています」、と質問を書いている。

カルティエ(Cartier)やモエ・シャンドン(Moet & Chandon)、パテックフィリップ(Patek Philippe)などの広告主のスポンサーが付いているため、フォーラムへの参加やサイトへのアクセスは無料だ。これら企業は、高級品に興味のあるユーザへのリーチが保証されているこのサイトに興味を持っている。

バランスを保つ

他社もこの流れに乗ろうとしているが、会員を限定にすることと、利益を上げることのバランスを保つことは、大きな挑戦である。

良い例が、最近サービスを始めたDiamondLounge.comだ。会員150人というかなり小規模であるこのサイトは、サービスの有料化と無料化を繰り返しており、ビジネス・ソーシャル・ネットワーキングを中心としていた内容を、「オンライン・クラブ」のような、出会いや娯楽を中心に変えた、とオーナーのArya Marafie氏は言う。彼が言うには、現在の初期段階でゆっくりとしっかり管理をしてサイトを成長させることは、長期的な成功に必要とのことだ。

「我々は、適切な会員を探すために膨大な時間をかけている。なぜならば、彼らがまた次の会員を呼び込むからだ。」と、Marafie氏は言う。このように時間をかけて選んでいる会員候補は、CEOや弁護士、会社役員、医者である。しかし、このような組み合わせが、サイトの内容をパーティーのようなものに変えてしまっていることも、Marafie氏は認めている。

「裕福なだけでは、会員にはなれません」とMarafie氏は言う。「会員は、他人を引き付ける人で、他の人をテーブルに呼び込むことが必要です。」 彼が言うには、会員の平均年齢は、35歳から40歳で、MySpaceやFacebookよりもずっと年齢層が高い。しかし、comScore Media Metrixの調査によれば、MySpaceの5500万人のユーザの68%、Facebookの1500人ユーザの50%は、25歳以上だ。

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来月、Luxury Instituteは、富裕層のためのネットワークを開始する。LuxuryRatings.comは、資産アドバイザーからクルーザー仲介のディーラーまで、様々なタイプのサービス会社に対する会員評価へのアクセスを、年会費250ドルで提供する予定だ。有料とするためにオンライン広告の必要はないが、これは利害の相反になる、とPedraza氏は言う。

うまくいくだろうか?

「ユーザは、無料参加のLinkedInやFacebook、MySpaceには満足していない。彼らは、うまく付き合っていける特別なグループを探しており、それ以外のユーザを除くために料金を支払っている。」と、Delawareを拠点とするインターネット・コンサルティング会社のWeb Business Ownership LLCのディレクター、Chris Curtis氏は言う。

「会員限定サイトは徐々に普及している。なぜなら、皆、知らない人とはネットワークをしたいとは思っていないからだ。」と、彼は付け加える。「サイトはへの案内は、閉じた集団の中で、よりフォーマルなものになってきている。『ネットワーク』には影響力がある。しかし、それはネットワークを構成しているユーザのニーズを聞き入れている場合にのみだ。」

しかし、金持ちや成功者は、Web検索やおしゃべりに時間を費やすだろうか? 「もし、時間をかける価値があるのであれば、答えはYESだ。」 Pedraza氏は言う。「私は、クルーザーを作っている人を知っているが、どこにいって誰と働くかについてをピア・ツー・ピアでやり取りすることは、とても楽しいようだ。」

そういったネットワークを見つけることは難しい。しかし、そうしたところに入会したいであれば、全ての会員が新規会員を招待することのできる規制の緩いネットワークを探すのが良い。慎重に選んだ方がいい。高校のクラブのように誰もが入ることができるのであれば、それはもはや良いネットワークではない。もしくは、LuxuryRatings.comのようなサイトで、250ドルの年会費を支払うかだ。

もし、会員限定のネットワークからの紹介が欲しいのあれば、単純に、関係者と知り合いになるだけだ。

「もし、そのネットワークの誰も知らないのであれば、自分にあった場所ではないのだ」と、Wachtmeister氏は言う。


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